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(……いよいよ、明日からね)
そう思いながら、セイディは寄宿舎の自室の窓から綺麗な星を眺めていた。いよいよ、明日から『光の収穫祭』が始まる。
マギニス帝国のこと、フレディのこと、神官長のこと、ジャレッドのこと。考えていたら、きりのない悩みの数々。それでも、弱気になんてなるつもりは一切ない。自分は、出来ることを精一杯やるだけ。そう思いながら、セイディはお茶を飲む。……リリスの淹れてくれたお茶の方が、数倍美味しい。そんな感想を抱くものの、リリスは今休養中だ。だから、仕方がない。
あの後、結局リリスは取り調べは受けたもののお咎めなしとなった。それは、ミリウスがなんだかんだ言っても口添えしてくれたことが大きい。あまり大々的に味方をしない。どちらかと言えば中立を保つとミリウスは言っていた。それでも、リリスには思うところがあったのだろう。
きっとリリスは回復をしても、もう一度王宮で働くことは叶わないだろう。元々寿退職を間近に控えていたので、そこまで大きなダメージを受けることはない。それでも、自ら辞めるのと辞めさせられるのとでは、雲泥の差だ。
「はぁ、明日からどうなるのかなぁ」
やっぱり、一番気になるのはアーネストの動向だろうか。彼が、どういう風に仕掛けてくるかが全く読めない。それに、あの魔法石のことも分からない。罠か何かだったのかもしれないが、調査に回しても特に変わった点は出てこないそうだ。だから、その可能性も考えにくい。もしかしたら、フェイクだったのかも。その可能性さえ、思い浮かぶ。
(っていうか、明日の護衛はジャック様だっけ)
とりあえず、そんなことよりも、今は目先のことを考えなくては。そう判断し、セイディは大きく伸びをした後地図を開く。明日回る神殿も、もうすでに決まっている。ルートも、相談した。だから、トラブルさえ起きなければ何の問題もないはずだ。……そのトラブルが、一番怖いのだけれど。まぁ、ジャックが護衛に付いてくれているのならば大丈夫だろう。今は、そう思うことしか出来ない。
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