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「……それは、だな」
「あ、もちろん、ジャック様も入っていますよ」
「そういうことを言いたいんじゃない!」
なんだか面白そうだったので、そんな言葉を付け足してみればジャックは顔を真っ赤にしながら、否定をしてくる。……そういう言葉が返ってくるのは、大体予想していた。が、やはり面白い。そう、実感する。
「いえ、仲間外れにしてしまうと不貞腐れてしまうかと……」
「……お前は、俺を何だと思っているんだ」
セイディの言葉に、ジャックは頭を抱えてしまう。……ちょっと、からかいすぎただろうか。最近ではジャックもセイディに心を許してくれるようになった。だから、前々から思っていたからかいをやってみたのだ。……まぁ、突拍子もなく行動に移したことについては、反省点だろうか。
「冗談ですよ。……最近、ジャック様の警戒心が薄れているみたいで、嬉しいなぁって」
「……そうか」
でも、そんな風に静かに言葉を返してくるのはちょっと予想外だったかも。そんな感想を抱きながら、セイディはただ前を向く。そして、ジャックに告げる。
「ありがとうございます」
と。
初期の頃。ジャックはセイディのことを認めようとはしなかった。それでも、今はそこそこ認めてくれている。それが、とても嬉しかった。彼の良さを、知ることも出来た。
「……改まるな」
「ジャック様って、案外照れ屋みたいですよね」
だからこそ、こうやってからかったり軽口を言い合えるような関係になったのだろう。それを実感しながら、セイディはただ笑う。
この『光の収穫祭』が終わったら、自分はここからいなくなるかもしれない。それでも、やっぱり。ここで教わったことは、忘れない。もちろん、出逢いも。
(お父様方のことも、あるしね)
ミリウスに告げられた、あのこと。あれがある以上、自分はここに長居出来ない。そう、思った。
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