悪女みたいですよね?

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「明日の護衛は、殿下だったな」 「……そうですね」  セイディの気を逸らそうとしてくれたのか、ジャックはそう声をかけてきた。だからこそ、セイディは端的に言葉を返す。その言葉を聞いたためだろう、ジャックは「……勝手に、何処かに行かないようにくぎだけは刺さないとな」とボソッと零す。……そこまで、ミリウスは信頼がないのか。そんなことを思ってしまうが、実際に彼の行動を見ていると信頼しろという方が無理なのだろう。あんなにも自由奔放で、自分勝手で。それでも、何処となく憎めない。そして、憎めないからこそミリウスは団長で居続けることが出来ている。……その後ろで、アシェルやリオの奮闘もあるのだろうが。 「……そういえば、最終日の護衛ってどうなっているのですか?」  ジャックの話を聞いていると、ふと一つの疑問がセイディの脳内に浮かび上がってくる。今日の護衛はジャック。明日の護衛はミリウスだと聞いている。しかし、三日目は聞いていない。どちらが護衛してくれるのかは分からないが、どちらでも問題はないと思う。ただ、心の準備が必要なのだ。 「あぁ、半日ずつで交代する予定だが……」 「だが?」 「最悪の場合、俺と殿下、二人ともつくことになるだろうな」  ……それはそれで、なんというか微妙だ。だって、見た目麗しい男性を侍らせている気分になってしまいそうだから。セイディが高位貴族の令嬢ならば、それを誇りに思うのだろう。でも、実際のセイディはただのメイドであり、元聖女。ついでにいえば、実家の子爵家を勘当された女なのだ。
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