第一の襲撃(2)

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「まぁ、ここで一旦戦闘と行きましょうか。……俺、これでも実力のある魔法騎士でしてね。……貴方、いえ、ジャック・メルヴィルとは一度お手合わせをしてみたくて」 「……そうか」 「この王国の実力者と、一度戦ってみたかったんですよ。もちろん、あの騎士団長については例外ですよ。俺、あっけなく殺されちゃいますから」  そう言って、アーネストは懐から短剣のようなものを取り出す。そのためだろう、ジャックはセイディに対し「……本当に、大人しくしていろよ」と言葉をかけてくる。その言葉に、セイディは静かに頷く。 「さすがに、皇帝陛下に手土産なしで帰るのは、いろいろな意味で出来ないのでね。……さっさと、始末しますよ。その聖女様を」  アーネストのその言葉は刺々しく、冷え切っていた。それでも、セイディは負けじとアーネストのことを睨みつける。が、今彼の目にはジャックしか映っていない。何故ならば、ジャックのことを倒さない限り、セイディを始末することは出来ないから。  セイディがアーネストのことを見つめていれば、彼はそのまま馬車の床を蹴り、ジャックの方に飛んでくる。それに、セイディが身を縮こませれば、ジャックが魔法でその攻撃を阻んでいた。……魔法騎士は、魔法と剣を交えて戦うという。そのため、ジャックの魔法の腕も素晴らしいものだ。 「とりあえず、お前は殿下に連絡しろ!」 「ミリウス様の居場所って、分からないじゃないですか!」  ジャックのその言葉にセイディがそう叫びながら言葉を返せば、「じゃあ、アシェルの奴だ!」と叫んでくる。そして、ジャックは通信機のようなものをセイディに投げつけてきた。
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