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「……あーあ、一体どうなるのかなぁ……」
ついつい漏らしてしまった弱音。それでも、「いや、なるようにしかならないか」と自分に言い聞かせ、寝台に横になる。
(アーネスト様のことはいろいろとあるし……。多分、他にも誰かいるのよねぇ……)
アーネストだけで、何かが出来るとは思えない。確かに、アーネストはジャックとやり合うことが可能な実力者だった。それは、分かる。が、こちらにはミリウスがいる。アーネストの口ぶりからして、ミリウスには敵わないと自覚しているようだった。ならば、ミリウスの対策として誰か強者を連れてくるのではないだろうか。
「あー、考えていても埒が明かないわね」
自分に言い聞かせるようにそう呟き、セイディは寝台から勢い良く起き上がった。寝よう寝ようと思えば、逆に目がさえて眠れない。それは、よくあることだ。
だからこそ、セイディはお茶でも飲もうと思い寝台から下りる。幸いにもテーブルの上にお茶は用意されており、それをカップに注いで口に運ぶ。王宮のお茶は大層美味しい。しかし、どうしてもリリスのお茶を思い出してしまう。……リリスのお茶は、これ以上に美味しかった。
「フレディ様も、リリスさんも、きっと苦労されてきたのよね……」
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