一日目の終わり(3)

3/4
前へ
/193ページ
次へ
「じゃあ、俺はそろそろ帰るわ。……じゃあな、セイディ」 「……はい」  結局ミリウスは何をしに来たのだろうか。心の中でそう思いながら、セイディは部屋を出ていくミリウスを見送る。部屋の外では騎士が待機しており、セイディのことを護衛してくれている。『光の収穫祭』の間は、就寝時間などにも護衛が付くのだ。まぁ、昼間のようにジャックやミリウスではないのだが。彼らにも休憩時間は必要なのだ。 「……はぁ」  ミリウスが立ち去って、セイディはふぅと息を吐く。やっぱり、いろいろと考えると気が重い。ただわかるのは、今自分は逃げてはいけないということ。自分に課せられた役割を、遂行することしか出来ないということ。だから……自分は、やるだけなのだ。そう、思う気持ちに間違いはない。 「……きちんと、やるのよ」  そして、セイディがそう呟いた時だった。不意に、窓の方から何かの音が聞こえたような気がした。それに驚きそちらに視線を向けるものの、特に何もないように見える。……気のせい、か。どうやら、神経が過敏になっているらしい。少しの風の音で、こんなにも反応してしまうのか。心の中でそう思いながら、セイディは明かりを消そうとランプに手をかけようとした時のこと。――窓ガラスが、パリンと音を立てて割れた。
/193ページ

最初のコメントを投稿しよう!

714人が本棚に入れています
本棚に追加