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そして、『光の収穫祭』の二日目。街は相変わらず騒がしく、セイディたちの事情など民たちは知りもしないのだろう。いや、違う。知られないようにと頑張っているのだ。騎士も、魔法騎士たちも。彼らの不安は尽きないだろうし、セイディだっていろいろと思うことがある。でも、やるしかないのだ。だから、頑張るだけ。
「……セイディ。本当に、大丈夫か?」
「大丈夫です、アシェル様。昨日はいきなりだったので驚いただけですので……」
朝早く。セイディはアシェルに捕まっていた。とは言っても、説教をされているわけではない。ただ、昼間と夜の襲撃のことを心配されているだけだ。アシェルのその不安は分かるが、ミリウスが側についていてくれる。ならば、大丈夫だ。そう思えるのは、きっと彼が頼もしい存在だから。……もちろん、私生活は除く。
「……だったら、いい。まぁ、何かあったら遠慮なく連絡して来い。俺は、すぐに駆け付けられるように待機しておく」
「お仕事は……?」
「そこら辺は、昨日のうちに調整済みだ。誰もが団長みたいだと思わないでほしい」
アシェルが笑いながらそう言うので、セイディは少し困ったように笑う。本当に、アシェルはミリウスのことを私生活面では信頼していないらしい。セイディもそうだが、アシェルの場合は事情が違うのだろう。彼らの付き合いは長いというし、セイディには分かりようもない関係性なのだろう。
「一応数名の騎士や魔法騎士のスケジュールを調整したからな。……あと、昨日の奴らの穴埋めも……」
ぼそぼそとそう言うアシェルに対し、セイディは「昨日の方々は、大丈夫でしたか?」と問いかける。昨日のジョシュアの襲撃により、負傷した騎士たち。ミリウス曰く彼らは軽傷ということだが、やはり気になってしまう。遅延性の毒か何かがあったら……そう、思ってしまうのだ。
「いや、その点は大丈夫だ。もうかなり楽になった。明日からは、仕事に戻らせる」
「……過労では?」
「その場合、俺とリオが一番過労だな」
「……そう、でしたね」
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