7-5.服

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「あれ?似合うのヤだった?」 蓮くんが一緒にしゃがみこんで、私の顔を覗き込もうとする。 「・・・ううん。勝手に借りてごめん。思いあがってた自分が恥ずかしい。」 「梶がこれ着ろって言ったんでしょ?勝手じゃないよ。」 「うん。ありがとう。」 顔を隠したまま返事をすると 「思いあがってたって何?」 と聞かれて、ますます顔を上げられなくなる。 「あの、ドミノ倒し方式で、梶くんが着るものなくならない?」 「かもね。でも知らね。」 蓮くんが笑う。 「もし嫌じゃなかったら、すぐに脱いで返すよ。2階で着替えてくる。お風呂あがった後だし、汚れてない、はず。」 「あ、ほんと?じゃ、さっきのところに戻しといてもらえる?」 「うん。」 「思いあがってたって何?」  また訊いてくる蓮くんが、いじわるをしているのか、本当に不思議で聞いているのか、判別できなかった。そっと目を上げて覗き見ると、優しく微笑んでいる蓮くんと目が合った。 「あやめちゃん、メシ作ってくれるし、桂のこと風呂入れてくれるし、俺に英語も教えてくれるんでしょ?もう兄妹みたいじゃん。服くらい、全然、貸すよ。」
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