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「あれ?似合うのヤだった?」
蓮くんが一緒にしゃがみこんで、私の顔を覗き込もうとする。
「・・・ううん。勝手に借りてごめん。思いあがってた自分が恥ずかしい。」
「梶がこれ着ろって言ったんでしょ?勝手じゃないよ。」
「うん。ありがとう。」
顔を隠したまま返事をすると
「思いあがってたって何?」
と聞かれて、ますます顔を上げられなくなる。
「あの、ドミノ倒し方式で、梶くんが着るものなくならない?」
「かもね。でも知らね。」
蓮くんが笑う。
「もし嫌じゃなかったら、すぐに脱いで返すよ。2階で着替えてくる。お風呂あがった後だし、汚れてない、はず。」
「あ、ほんと?じゃ、さっきのところに戻しといてもらえる?」
「うん。」
「思いあがってたって何?」
また訊いてくる蓮くんが、いじわるをしているのか、本当に不思議で聞いているのか、判別できなかった。そっと目を上げて覗き見ると、優しく微笑んでいる蓮くんと目が合った。
「あやめちゃん、メシ作ってくれるし、桂のこと風呂入れてくれるし、俺に英語も教えてくれるんでしょ?もう兄妹みたいじゃん。服くらい、全然、貸すよ。」
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