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「あやめちゃん、それ着たの?」
「うん。梶くんが貸してくれた。桂くんが素早くて、私の着替え取りに行き損ねちゃって。」
「そっか。じゃ、俺は梶の借りようかな。もう1個のジャージ、夕飯の時に桂に汚されて洗濯機に入れちゃった。さっき母さんがスイッチ押してたからもう濡れちゃってると思うんだよね。」
リビングから出てきて脱衣所に行き、洗濯機の蓋を開けて覗きむ蓮くんを私は無言で見つめる。
「あ、やっぱりもう濡れちゃってる。梶のジャージどこかな?」
スタスタとリビングに戻り、夕方、京くんが畳んで積んだ洗濯物の山の中を探りだした。
「あった、あった。梶のでかいんだよなー。ま、いっか。」
Tシャツとジャージを掴んで、脱衣所に持っていく。私がお借りしているジャージとTシャツが置いてあった場所にそれらを置くと、
「オッケー。」
と私を振り返って微笑んだ。
「蓮くん。」
「ん?」
「これ、蓮くんの?」
自分が来ているTシャツを引っ張りながら聞くと
「うん。似合うね。」
と微笑まれ、私は一気に赤面してしまい、しゃがみこんで膝の間に顔を隠した。
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