自己紹介

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自己紹介

 私は甲斐秀夫、32歳、しがない会社員である。まだ結婚せずに、実家で両親と同居している。  要領は良いとはとても言えず、また、羽目を外す方でもない。友人はいない訳ではないが、友人達としょっちゅうつるんで遊んでいる様な生活は苦手である。  私は、健康の為に、少し速足で歩く事にしている。その為かどうか分からないが、往来でよく人にぶつかりかける。しかし、大抵の場合は、対向者がモラルのない歩き方をしているのであって、そして毎回私が避けて衝突を回避している。  こちらに向かって来る者の中には、実に腹立たしい者もいる。  そいつは恐らく急いでいるのだろう。目付きが険しい対向者は、きっとこちらの姿など目に入っていない。男も女もいる。ひたすら目的地を目指しているので、私が避けなければ間違いなく衝突しているだろう。  二人以上が横に並びお喋りしながらやって来た場合には、大きく避けなければならない。女子同士や男女カップルの場合が多いと思いきや、意外と男同士でもあり得る。中年女性の場合も結構ある。どんな組み合わせにせよ、二人の間を割って歩こうものなら、白い目で睨まれかねない。自分たちが邪魔であるにも関わらず、私が悪者になってしまうのだ。  ああ、小さい子供は仕方がない。むしろ同伴している親が問題だ。全く周囲を見ていない。例えば私が持っている荷物の角にぶつかったら子供が怪我するだろう事も予想せず、一緒になって前を見ないで突進してくるのだ。お前、そんなんで子育てできるのかよ、と言いたくなる。  スマートフォンを見ながら歩いてくる奴は、最悪だ。これはなぜか、圧倒的に男が多い。そのまま真っすぐ進むかと思えば、急に進路を変える事も少なくない。避けるのが難しいのだ。
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