2人が本棚に入れています
本棚に追加
/1ページ
ミサイルが灰色の宙に飛び交う。
私は、少し大きなヘッドホンをつけた。
聴こえる曲は、全て、
平和、希望、勇気、未来、
を嘆き、
壊れることを前提としていない『時』
を悠々と簡単に越える。
戦争、絶望、臆病、過去、
しかないこんな世界で、皮肉を込めて、
私は、
───────歯茎が見えるくらいに笑う。
死んでしまっても良いと、唄と共に逝きたいと。
私達のことなんか考えられない唄は、理想しか嘆かない曲はみな、愉快な世界でダンスを踊っている。それが、
───不愉快だ。
───最低だ。
───壊れて欲しい。
何もかもが終わり、ようやく特別が普通に成り下がる不平等な世界で、ミサイルが着弾しようとも、爆風が風を上げながら向かってこようとも、
叫び声が無差別に鳴り響き、足掻く人を見ながら、
唄を聴く。
上を向いた。リズムに合わせて、首を縦に振る。
ミサイルが、、、
白い痕を遺しながら、灰の空を掻き分ける。
まるで流れ星のように、
地を照らし、鮮やかに、爆発する。
叫びたい。言葉に込められた使い捨ての語彙に、
ああああ────
何も変わらない世界に、
ああああああああ────
消えない約束が欲しい。確かな明日が欲しい。
ああああああああああああ────
何時か、
世界が終わった時か、
始まった時か、
海水がしょっぱいのは人の涙で海が完成されているからだと知って、
宙が果てしなく続いているのは、私達の声を遠くまで響かせるためだと、気付いた。
形在るモノが救われる訳では無いけれど、
未だ、『生きたい』と想った。
最初のコメントを投稿しよう!