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クロエ視点
***
(まさか、ヒロインに助けられるなんて…)そう思った
確か、小説でもヒロインが光魔法に目覚めたのは事故が原因だったはず…
まさか、当事者になるとは思わなかった
(けど、記憶喪失のふりをして正解ね…)
他の皆んなはまだ目を覚ましていないようだった
咄嗟に水魔法で体を覆ったから衝撃は少ないだろうが、まだ幼い子の体には負荷があるだろう
でも、まさか命まで“狙われる”とは…
(あのクソダヌキめ!)と令嬢に合わぬ毒を吐く
小説通り私はこの国から膿を出すため暗躍している。ある貴族が隣国と通じている証拠を掴んだのだが、王族もいる馬車を狙うなんて…
幸いにも死人は出なかったのだから結果的にはよかっただろう。
私たちは仲間なのだ、性別身分しがらみ関係なく。一人でもかけることは許さない
恋に落ちることは決してないし、悪役令嬢がヒロインになり代わることもない
というかそんなのゴメンだ。
***
(ヒロイン、いい子すぎる…!)が数日間過ごして思ったことだ
周りの、王族に宰相の子将軍の子魔術師団長の子皆んな彼女に惹かれていくのがわかった
皆んなを冷静にどんな子か判断しているとでもいうのか、人心掌握に長けているというか、
身分を知らないというのもあるだろうが媚びることをしないのは好印象を持てる
年齢が一桁にも関わらず婚約の申し込みが多く、お茶会の招待とかも嫌になることばかりだった。きっと皆んなも同じだろう
そんな煩わしさがないここは心地が良い。
けど、いつまでもは続かない。
身分ある者の子が行方不明なのだ。まだ、公にはされていないだけで、時期に捜査されるだろう。いや、水面下ではあるのだろうが関係者以外にバレないようにだろう
(はぁ、考えると嫌なことばかりね…。)
「お〜い、クロエ〜、早く行こう〜?」と声が聞こえてくる
これから花の冠を誰が上手く作れるのか競争するのだ。
王都ではできなかったことなので胸が弾む
「えぇ。今行くわ〜!」そう自分も家庭教師がいたらはしたないと言われるような声で返事する
今は楽しいことだけを考えて生きよう。自分は、この体は幼いのだから。
ややこしいことは大人に任せて駆け回って遊ぶのが子供の役割だ
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