禁猟期間

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 過去にも乱獲や気候変動などの影響で、禁猟禁漁期間を設けられたことがあった。狩りや漁の対象が減少し、そのままにしておくと絶滅したりする可能性を回避するために行われるものだ。  私が楽しみにしている狩りの対象も過去に他の趣味の奴らが狩りまくった結果、数が激減してしまった。その後、禁猟期間に入ると決定がなされてしまったため、私はしばらくの間ずっと我慢を強いられ、保全と数の回復の業務に就いていたわけだ。そして今年、やっと一定数以上に数が増えたということで禁猟期間が終了し、狩りが解禁されたのだ。  最初の数ヶ月は順調に狩りが進み、私はこれまで我慢をした分まで狩りを楽しんだ。狩りすぎないように、強さと勢いをコントロールすることを怠らないように注意をしながら。  しかし、ある日、以前にも節操なく狩りをした奴らが一斉に動きだした。奴らの狩りは、一瞬で何千何万と狩っていくものだ。結果は見なくてもわかる。再び狩りの対象は、その数を激減させてしまうだろう。 『臨時ニュースです。世界的に未知のウイルスによって、多くの命が奪われたことが記憶に新しいですが、たった今、A国とB國が互いに核爆弾を投下したという発表がありました。それ以外に複数の核弾頭を積んだミサイルを多方面に発射した模様です。着弾点は不明です。みなさんはすぐに頑丈な建物や地下に避難してください。繰り返します……』  こうして私は、の数が増えて狩りが解禁され、また私のウイルスによってたくさんの人間の命を狩れる日を楽しみにしながら、平和と愛の神として働いている。
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