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「でも、まさか私との仲を勘違いされちゃうとは。玻名城さん、ごめんね?」
先日の報道の一件を、あらためて桃花からも説明を受ける。やはりあの写真を撮られたのは収録の日のことらしく、元から星七と翠が一緒に飲む約束をしていたところに、桃花が強引に加わったらしい。
ちょうどいい店もなく、三人とも家がさほど離れてはいないので、中間地点の星七の部屋で飲むことになった上、明け方まで飲み明かしていたのだとか。
一度星七からも話を聞いていたので、二人の話に相違ないことに安堵していると、翠が呆れたように口を挟んだ。
「そもそも今回の件はセナのプロ意識の問題だよ。いくら酔ってたからって二人で買い出しに出るとか気を抜き過ぎだよ」
「まあね~。でも翠寝ちゃってたし」
「それでもだよ。ねえ、由夢ちゃん。やっぱり僕にしておかない? 星七よりも抜かりなくやるよ」
「え!?」
「するわけないだろ!」
いつの間にかキッチンから戻って来た星七は、無理やり由夢と翠たちの間に座り込む。いかにも不機嫌そうで、その様子を翠たちは面白そうに眺めている。
「まったく、僕のおかげだっていうのに、もう少し感謝してほしいな」
「あのなぁ……翠は強引すぎるんだよ」
「僕は目的のためには手段を選ばないタイプだから」
綺麗な顔で、さらりと怖いことを言う翠は、やはり由夢が彼に抱いていた印象とはほど遠い。しかしながら、由夢としてはなんとなくこちらの翠のほうが好きだった。
「そうだよ~。翠に感謝しなきゃ! セナは奥手すぎるんだよ」
そして桃花に関しても、仕事でやりとりをしていた時以上に親しみやすく、明るく快活な女性であるとわかり、由夢はほっと胸を撫でおろした。
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