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――それにしても、このメンバーに囲まれてるって、なかなか凄いことだよね。
人気声優二人に、人気シナリオライター。さらに全員顔面偏差値が高いので、由夢はさすがに居たたまれない気分になってきた。
緊張も相まって恐縮したままでいると、翠は満足げに口角を緩めて立ち上がる。
「それじゃあ、二人が上手く行ってることも確認したし。僕たちはそろそろお暇しようかな」
「そうだね。私も帰って仕事しなきゃ。締め切り近いし」
「え、もうですか?」
「いいんだよ由夢。止めるな」
まだ夜も更けていないというのに、翠と桃花はそそくさと帰りの支度を始める。
「付き合ったばかりなのにお邪魔するのもね。それに由夢ちゃんとは、これから何度でも会う機会がありそうだし」
「それじゃあ、玻名城さん。セナと仲良くね~」
言いたいことを言い終えて、二人は風のように去って行く。
急に静かになった部屋の中、星七がやれやれと息をついた。
「ごめんな。あいつら、由夢に会うってきかなくて」
「あ、ううん。全然! 久しぶりに賑やかで楽しかったし」
「……ならいいけど。まあ、なんか付き合えても家で会うばっかで代わり映えないよな」
先日の熱愛報道に関しては、翠が星七と桃花が養成所時代の友人であり、三人でよく仲良くしていると発信したことにより、世間の声はだいぶ落ち着いたようだった。
それでも立て続けに熱愛報道などが出てしまっては星七の印象も悪いので、由夢との関係は今まで以上に気を使う必要がある。おかげで二人が会えるのは、変わらずマンション内だけという状況が続いていた。
星七はそのことを気にしているようだったが、元々インドアな由夢にとっては大した問題ではなく首を振る。
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