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「星七とは家でぐだ~ってしてるのが好きだし。落ち着くっていうか」
「ふーん」
由夢としては良い意味で言ったつもりなのに、星七はどこか不機嫌そうに口を曲げる。
「えっと、それじゃあ何か映画とか見る? まだ時間も早いし――」
切り替えようと話を切り出すと、すぐそばから伸びてきた星七の腕が由夢をとらえる。後ろから抱きとめられる形で星七の腕に抱かれると、そっと耳元に唇を寄せられた。
「なぁ、俺らって付き合ってんだよな」
「う、うん?」
「もっと恋人っぽい雰囲気になってもいいと思うんだけど」
「恋人っぽいって――んっ」
星七の唇が由夢の耳に触れ、女の声が漏れる。
そのまま音を立てながら、耳の裏に口づけられ、由夢は体を震わせた。
「せ、な……っ」
「由夢って耳弱いのな」
「だって……ゃっ」
――星七の声が良すぎるからじゃない……。
そう言う隙も与えられず、星七が由夢の耳の周りを攻めていく。
次第に片手が由夢の体を弄り始め、慌ててその手を掴んだ。
「だ、め……! まだ時間早いし……」
「時間は関係ないだろ。最近会えてなかったからしたい」
「じゃ、じゃあお風呂……」
「風呂なんて――」
「ダメ! そう言って前も無理やりしたんだから」
「っ……」
以前、星七が酔っぱらって由夢を抱いたとき、星七は由夢の要望を聞き入れてくれなかった。その話を出せば、星七はさすがにこたえたのか、手の動きをぴたりと止める。
「……その件は、マジでごめん」
まるで叱られた子供のように、しゅんとしている姿がまた可愛らしい。
なんだかんだ星七のことは憎めないと感じながら、ひとまずシャワーを浴びに向かうのだった。
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