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◇Side星七
――はぁ、ダメだ。由夢が目の前にいると自制が利かなくなっちまう。
由夢がシャワーを浴びている間、先ほどのことを猛省する。
付き合ってからも由夢の家で顔を合わせていたが、こうして長い時間ゆっくりできるのは今日がはじめてで、早く触れたくて仕方がなかったのだ。
星七が必死で気持ちを落ち着かせていると、シャワーを浴び終えた由夢が部屋へと戻ってくる。これからすぐ脱いでしまうというのに、貸したスウェットをすっぽりと被って、ガードが堅そうだ。
しかしながら、自分の服を由夢が着ている状況に、ムラッとしてしまう。
「星七?」
「あ? いや、俺も入ってくるわ」
「うん。ごゆっくり」
ごく自然に言葉を交わし、お風呂場へと向かう。由夢が先に使用したせいで、浴室にはもわっと湯気が立ち込めていて、ここで由夢がシャワーを浴びていたのだと思っただけで、星七の分身はむくりと起き上がった。
――嘘だろ。中学生かよ、俺は。
はじめてホテルで由夢を抱いた夜、星七は動く前に果ててしまうという大失態を犯した。二度目はうろ覚えながらも問題はなかったが、あれは酒を飲んでいたからだった。ともすれば、今日はどうだろうか。三度目とはいえ、やっと長年の思いが通じて恋人としてはじめて体を重ねるのだ。正直どこまでもつかは自信がない。
さらには先ほどまで翠と桃花がいたことで、早く由夢に触れたいのに焦らされて焦らされて、既に余裕はどこかへ行ってしまっている。つまるところ、今日も怪しい。さすがに秒で果てることはなくても、すぐに限界を迎えることは目に見えて想像ができた。
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