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「相変わらず社畜だな。忙しすぎて病むなよ?」
「ご心配どうも。でも大丈夫だよ、好きで働いてるんだから」
由夢が勤めるのは、スマートフォン向けのゲーム制作を主力事業とする株式会社AMMY(エイミー)。昔からゲームが大好きだった由夢は、大学を卒業と共に入社し今年で二年目。今は念願の乙女ゲームの部署で、ゲームシナリオ制作に携わっている。
その中でも由夢が担当するアプリ『ロイハグ』は、入社前からプレイしていたゲームでもあり、配属が決まった時は涙が出るほど喜んだ。
「好きを仕事にするな」とはよく言うけれど、今のところ由夢は何も困っていない。それどころか、趣味の延長にも近い仕事が、とにかく楽しくて仕方なかった。
「すごいよな。好きなこと仕事にしてる奴って案外少ないし。仕事好きってたぶん少数派だぞ」
「そう……? 星七だって、好きなこと仕事にしてるじゃん。星七のほうが十分すごいよ」
「俺は好きっていうか……まあ……」
褒められたことがくすぐったいのか、星七が口ごもる。そしてすぐに話を逸らした。
「つうか、そういうわりには由夢のとこで俺のこと起用してくれないよな」
「ええと……うちのアプリ予算が少ないし、しばらくはキャラ追加の予定もないから。それに、どうせ星七の相場高いんでしょ」
「たしかに俺人気声優だからな~」
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