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高鳴る鼓動が胸を打つ。
衝動に身を任せてしまいたいけれど、君との約束を破るわけにはいかない。
僕は必ず待つと決めたんだ。
どんなに甘い誘惑も、君への想いには敵わない。
信じてくれる君のためなら、僕は過酷な試練にだって耐えてみせる。
だから、この試練を乗り越えられたら、その時は、よくやったと褒めてほしい。
僕の望みは、それだけだから。
「よし!」
彼女の合図で緊張から解き放たれた彼は、待ち望んだご褒美にありついた。
至極嬉しそうな様子の彼の頭を、彼女は優しく撫でる。
「やっと〝待て〟できるようになったねー。えらいぞー、ジョン!」
「ワンッ!」
専用の皿に盛られたディナーに舌鼓を打ちながら、愛する飼い主から与えられる賛辞というもうひとつのご褒美に、彼は千切れんばかりに尻尾を振るのだった。
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