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──……キスの手前まではいったのだ。
彼は高校時代は「〇〇高1のキス魔」という不名誉な呼び名がつくほどのキス魔だった。校内の粗方の女子とキスを交わして……幼馴染である私にお鉢が回ってきた。
しかしこのキス魔は私とはキスできなかった。
私が断ったから。
私の「恋人としかしたくない」から始まった幾多の断り文句にも対応し続け、やっとOKを出したところで
──この有様である。
「ごめんね……」
「いや……別にいいよ」
もう慣れた。
私は抱きしめる彼にそっと耳打ちした。
「でも今度の結婚式ではちゃんと“キス”してね」
彼の体からピシリッと、ひびが入るような音がした気がした。
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