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帰りの車の中は緊張がとけて、ほのぼのする空気。
「美男美女ばかりの家庭だった~」
というのが鈴音の感想。私もそう思った。
「しかもいい人ばかりで」
「たしかに。楽しかったね。」
諒ちゃんのご家族に会えてよかった。
鈴音を自宅で下ろしたあと、諒ちゃんの家に行く。もう何回も来て慣れた諒ちゃんち。
「今日はありがとう。みんな喜んでいた。」
「こちらこそ。お会いできて、よかった。」
2人でソファに座って、また今日の諒ちゃんの実家の話になった。
「お母さまが怖い方だと聞いていたからドキドキしたけど、怖くなかったよ。」
と伝えると
「美琴のこと、きちんとしてるお嬢さんだと褒めていたよ。」
と教えてくれて、私は恥ずかしくなって、うつむいた。
しばらく黙っていた諒ちゃん、沈黙を破ったと思ったら、いつもより低い声で私に話しかけてきた。
「ねぇ、美琴。」
「ん?」
「俺と結婚してほしい。美琴とずっと一緒にいたい。」
そう言って私の目の前に小さなビロードの箱を差し出す。
恋愛小説でなら読んだことのあるあれだ!
胸がドキドキして、全身の血が沸騰しそうだ。
「2人で新しい家庭をつくっていこう。今すぐにでなくていい。鈴音ちゃんが大学卒業するまで、あと5ヶ月なら待てるから。」
5ヶ月なら待てるって…それ以上は待てないってこと?そんなに私と結婚したいと思ってくれてるの…
「はい。よろしくお願いしま。」
最後の『す』の前に諒ちゃんの唇に私の唇はふさがれた。
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