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諒太side
気が付くとカーテン越しに朝日が部屋の中に入ってきていることに気づく。
もう朝か…
腕の中には美琴がいる。あどけない寝顔はいつまでも見ていられる。
かわいい。
お互いの思いを吐き出しあった昨日の夜。
今までで一番近い距離になれた。
途中から諒太さんではなく、諒ちゃんと呼びだした美琴にぐっと来た。まだ鏡で見てないけれど、俺の背中には美琴の指の跡がくっきりとついていそうだ、そんなことを考えていたら夜のことを思い出して、腕の中の美琴がさらにいとおしくなってきて、ついぐっと抱き寄せた。
んっ~
いつもは朝が弱くてなかなか起きれない俺の腕の中で美琴が目を覚ます。あ、なにこれ、ほんと…たまらない。思わず、またその唇に吸い寄せられた。
「あ、あの、おはようございます、諒太さん。」
「おはよ、美琴。昨日みたいに『諒ちゃん』って呼んでよ。」
耳まで真っ赤になる美琴。かわいすぎる。
「い、いや、いや、いや…」
「ね、おねがい」
「………諒ちゃん」
やっぱり言ってくれないのかなと思って油断していたから、赤い顔+ちゃん付けにやられる。ほんと、美琴には負けるわ、俺。
「体調は?体は大丈夫?」
「え、う、うん。大丈夫。だけど、仕事の前に一回家に帰らなきゃ。いけないしもう起きなきゃ」
それならと先にベッドから出る俺の背中を見送ろうとする美琴が急に大きな声を上げた。
「諒ちゃんの背中が、あの、赤くなってて…」
あ、美琴が昨日の指の跡に気が付いたらしい。痛かったら爪立ててもいいからねといったのに、爪が当たらないように指の先に力を入れていた美琴のやさしさの跡だ。
「二人の秘密の跡だね」
そういうとまた美琴が赤くなって…かわいかった。
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