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一度家に帰って着替えたいという美琴を車に乗せ、彼女の家に送る。
美琴のことだ、きっと準備も早いだろうからとそのまま車で待っていると、美琴の前に鈴音ちゃんが出てきた。
鈴音ちゃんは俺に気が付くと走ってくる。よく見るとニヤニヤ笑ってるし。美琴から何を聞いたんだか。
「おはようございます。諒太さん、あ、諒ちゃんでしたっけ?」
にやけながら話しかけてきた。
「聞いたんだね」
「はい、もう帰ってきたら大喜びで『諒ちゃんが~』と話すから」
そう言ってくすくす笑う鈴音ちゃん。
「これから時々美琴を借りるね。」
「はい、どうぞ、どうぞ。来年には私も就職するから一緒に住むのもいいですよ~同棲、いやもうすぐに結婚まで行っても。うちの美琴をよろしくお願いします。大事な姉なんで、大切にしてくださいね。」
鈴音ちゃん、すごい話が飛躍しすぎ。だけどいつかそうなるのもいいかも。
どっちが姉かわからない、と美琴が言いそうだ。
2人で笑っていたら美琴が着替えを終わらせて出てきた。
鈴音ちゃんは今から学校に行くという。途中まで車に乗る?と聞いたけど、車の中が暑苦しそうだからと断られた。
「何話していたんですか?鈴音と。」
「結婚してもいいって」
「は?????」
「ま、そのうちね~」
いつかそんな日が来たらいいなと思いながら、ハンドルを握る。
「このまま、家に連れて帰りたい~」
「だめですよ、今日は仕事がいっぱいたまってるんです。働きますよ。」
お仕事モードの美琴ちゃん。
「また、仕事が終わったら…ね。」
そういう美琴の手元のカバンにはどうやら着替えが入っているよう。
よし、今日も一日頑張れそうだ。
おまけのはなし①おしまい
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