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普段は優しいお母さまだけど、ルールを守らない、挨拶をきちんとしない、など基本的なことができていないととても怖いお母さまになるのだとあとで諒ちゃんが教えてくれた。
どうやら私と鈴音の挨拶は気に入ってもらえたらしく、その後は買ってきてもらったお寿司を一緒に囲んだ。はじめは諒ちゃんの家族、それに自社の社長も一緒という環境に緊張するなぁと思っていたけれど、みなさん優しい人ばかりで楽しい時間を過ごすことができてほんとうによかった。
帰る間際、お母さまから2人で話せないかとこっそり声をかけられた。
何を言われるのかとドキドキしながら後をついていく。
「美琴ちゃん、そんなに緊張しなくていいのよ」
「あ、は、はい。」
「諒太のこと、ありがとう。時々連絡をくれるんだけど5月ぐらいからかな?仕事がすごく楽しくなったって話してくれるようになってね。人間関係で小さいころから嫌な思いすることがよくあって…そういうことがあるのは仕方がないにしろ、それをうまく回避するのが苦手でね。心配だったのよ。」
「はい…」
「美琴ちゃんのおかげね、これからもよろしく頼みます。」
「はい、こちらこそ、よろしくお願いします。」
「美琴ちゃんが娘になる日が待ち遠しいわ~」
そう言ってお母さまは笑った。
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