第1章 はじまりは

3/5
52人が本棚に入れています
本棚に追加
/175ページ
「ふーんって…もうちょっと優しく言ってよ。」 「一番最近のやつはどんなのを書こうとしていたの?」 「オフィスラブ。じつは上司が御曹司で…ってやつを書こうとして、」 「で?」 「実際の私の課長ってさ、見かけがまぁいまいちで…セクハラぎみで…あの人を見ていたら、上司が素敵な御曹司って設定がすぐに頭から消えてしまうのよね…」 仕事中に考えていたことがばれちゃうな… いつもはしっかり働いているのよ、ただいまスランプで、書けなくて…つい油断すると考えてる。新しい恋愛。じゃなかった恋愛小説。 「逆にさ、御曹司はいるの?」 「御曹司かぁ…飯島社長は35歳のイケメン。」 「じゃそっちからイメージを膨らましてみるとか?」 「で、愛妻家。御曹司っていうか社長の息子は翔太くん、彼も整った顔立ち。将来有望。間違いなくイケメンに育つと思う。ただ幼稚園児。」 源氏物語の男女逆バージョン? それにしても5歳は若すぎるわ。 「その恋はだめだ。まずいやつよ。」 はい、鈴音の言う通り。 「頭で考えてばっかりだからだめなのよ!美琴、最近いつ恋をした?」 「ん?いつだろう?」
/175ページ

最初のコメントを投稿しよう!