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第1章 はじまりは
「美琴が作ったお話、聞かせて。」
「鈴音、いいよ〜
むか~し、昔、そのまた昔、森の奥のそのまた奥に小さなお城がありました。
そのお城には鈴音姫という、たいそうかわいいお姫様がいました」
「私と同じ名前〜うれしいなぁ」
「鈴音姫が大きくなるにつれ、かわいいことが国中に知れ渡りました。国中から鈴音姫と結婚したいと若者がたくさん来ました。けれど鈴音姫は首を縦に振りません。」
「え〜っ。」
「鈴音姫は言いました、この中で私を1番幸せにしてくれる人と結婚しますと。」
「幸せにしてくれる…?」
「うん、鈴音ならどんな人がいいかなぁ。」
「ん〜ピーマンを代わりに食べてくれる人!」
「そうだね、それは鈴音を幸せにしてくれるね」
布団に入ると毎日始まるのは鈴音の『美琴の作ったお話聞かせて』
鈴音が幼稚園ぐらいの頃から始まった。鈴音が好きなのは自分が素敵なお姫様で素敵な王子様が迎えに来てくれるお話。最後は必ずハッピーエンド。
毎日少しずつストーリーは変わったけど、お話は続いた。
私はそのまま物語を紡ぐのが好きな大人に成長した。
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