約束を果たした彼女

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 その知らせを受けた俺はすぐに車を走らせて母さんに言われた病院まで向かった。道中怖くて仕方がなかったが、それよりもすぐに向かわなくてはいけなかったのだ。  母さんと父さんと合流してすぐに目的地である霊安室に向かう。そこには昼間元気そうにしていたじいさんが白い布を顔にかぶせられてそこにいた。  医者によると、老人ホームの介護士の人がじいさんがいる部屋から変な物音がしたため見に行ったらすでに息がなかったらしい。人工呼吸など手は尽くしだが、結果はこれだそうだ。  首元にある手の跡と死因が窒息死であることから事件性があるとして警察に連絡がいくことになった。俺も念のため事情聴取を受けることになったが、その前にじいさんの首にある手の跡を見せてもらった。  その手の跡は俺の足首にある手の跡とそっくりだった。気味が悪い、何かの冗談だ。そう自分に言い聞かせて事情聴取が終わった後、俺はアパートまで車で帰った。 「ただいま」  そう言って部屋に入ると、すぐにあの肖像画が目に入った。あの時はパニックになって目に入らなかったが、今はその肖像画に目を奪われた。だって、絵が変わっていたのだ。  以前は黒い髪をお団子に結んだ女性が淡いピンク色の着物を着ていて、手を胸の前で握り悲しそうな顔をしてはずだ。それなのに今はその女性、桜さんは笑顔で誰かと手をつないでいる。  手をつないでいる人の顔は描かれておらず、彼女とつながれている左手だけが描かれていた。だが俺はその左腕だけでも誰だかわかってしまった。だって、どう見てもあの古ぼけた腕時計をした左腕は___。
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