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『愛しているのに愛しているのに、なんであんな女と結婚したの? 一緒に幸せになるっていったじゃない、私を忘れないっていったじゃない。それなのにあなたは』
『好きよ好き好き好き好き好き愛しているわ、だから約束通り私と一緒に幸せになりましょう?』
俺は足首から徐々に手が上の方に伸びていくのを感じた。やめろやめろやめろ! 何の話だ、俺はそんな約束していない!
「っはなせ! 誰かああああ!!」
この場から逃げ出そうと這うようにしてドアがあるであろう方向に行き、なんとかドアまでたどり着くがドアが開かない。ガチャガチャと必死にドアノブを回すが開くことはない。
そうこうしているうちにそれは自分の上にのしかかってきた。もうダメなのか、俺は死ぬのか? しかし女性は俺の前髪をあげた瞬間こう言い残して消えていった。
『違う』
それが消えた瞬間、電気はついてそこには何もいなかった。俺は呆然としながらもゆっくりと身体を起こす。あれはいったい何だったんだ、夢か? そう思いながら自分の足首に目をやると、そこにはくっきりと細い手の跡が残っていた。
それを見た瞬間背筋が寒くなり、とにかく誰でもいいから電話をかけて声を聞きたい! そう思った俺はベッドの上に置いてあったスマホを手に取り、友人に連絡を取ろうとした。その時母さんから電話がかかってきた。
「母さん! 俺さっきへんなことが起きて」
「そんなことより大変よ元希! おじいちゃんが」
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