プラネテスな僕ら

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 公立中学校っていうのは、住んでいる家の場所で行き先が決まる。  精神年齢もまちまち、学力なんて天と地の開きがある『近所の同じ年というだけの集団』は僕にとってあまり居心地の良いものではなかった。  たった3年、されど3年。 1年生のとき『歩き方が女っぽい』というくだらない理由でからかいの対象となった僕はそのまま不登校となった。  出席日数を稼ぐためだけに夕方保健室に行く以外は、ほぼ自宅で過ごした。  幸い両親は理解を示してくれた。父は休みになるとパソコンの使い方を僕に教えてくれた。学校など行かなくても、パソコンがあれば僕の世界には何の不自由もなかった。  両親から求められた条件は、ただひとつだけ。 「高校へは行って欲しい。学区制の中学と違って高校は価値観の同じ人間が集まってくる。高校なら通えるんじゃないかな」  家でパソコンをする時間を取られたくなかった僕は、家から一番近い公立進学校を進学先に選んだ。  教科書を読めば答えは書いてある。学力に不安はなかった。  こうして中学を卒業した僕は、4月から地元の県立大成高校へ通うことになった。  
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