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VIPルームに入ると、殆どの女の子達が武川に群がった。
その先頭に奏音がいた。
「むっちゃん!そのケガ大丈夫?」
「ああ、大丈夫だ」
「ごめんなさい。私が弱音を吐いたから痛い目に合わせちゃったね」
「俺の方こそごめんな。奏音ちゃんを守れなくて……」
「いいよ。今度こそ逃げられるんだから。そうよね茜?」
奏音は茜の方を向いた。
「ええ。お父さん。全員、逃げる決意を固めたわ」
「そうか。良かった」
俺は安堵したが、まだ報告は終わっていなかった。
「だけど皆、家には帰らず、匿って欲しいんだって」
茜によると全員、実家ではなくどこかに匿わせてくれるのを条件に逃げ出す事に了承したとう。
無理もない。
帰る家がない者。
帰る家が遠い者。
帰る家があっても、再び両親によって風俗に沈められる者。
理由は様々だが、全員で匿える場所があるなら安心できるという想いは一致した。
だが、これは想定済みだ。
「分かった。俺の家で匿おう」
俺がそう宣言すると女の子達に安心が生まれ、全員胸を撫で下ろしていた。
ただ1人、娘を除いて……
「いいの?私達の家、社宅だし10人が入るには窮屈だよ」
娘はまだ知らなかった。
拉致られた後、俺が復讐と称して、増岡から家を奪った事を……
「大丈夫だ。会社辞めて引っ越したんだ。今はもっと大きな家で住まわしてもらっている」
「えっ?」
娘は首を傾げていたが、俺は詳しく話そうとはせず、すぐに行動を開始した。
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