Ⅻ 雪に轟く銃声

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「良かった、気がついて」 「あれ……もしかして私は、生きてるんでしょうか……?」 「生きてます。オストラルさんの騎士章は、新しく贈りますね」  自力で上体を起こした彼に、先程取り出した騎士章を見せれば、目を見開いてそれを受け取る。 「うわ……ギリギリ……」  ほうっと大きく息をついた彼に、サクラは微笑んだ。とりあえず、皆が無事で良かった。  そこにアクセルが戻ってきて、攻撃してきた男は、捕縛されるとわかってからすぐ、奥歯に仕込んでいたらしい毒をかみ砕いて死んだことを伝えた。 『手加減してやったのに』  戻ってきたドレイクがそう言うと、すぐにサクラのフードに潜り込んだ。力をセーブして使うことのほうが、彼には疲れることらしい。小さくなったドレイクが眠ったことが、感覚としてわかった。  三発目、が発砲される前に、ドレイクは銃を暴発(ぼうはつ)させたのだ。彼は死なないよう、コントロールしてくれたものらしいが、みずから死なれては手の打ちようがない。 「射撃の腕、かなり正確でしたね……」  呟けば、皆が銘々に頷く。 「腕を磨ける場所も時間も、あったってこと、ですよね?」  誰にともなく言ったのに、アクセルが応じた。 「そうです。人に知られず、射撃訓練出来る場所がどこかにある、ということです。それに、銃の部品を作っているところは別ですから、かなり大きな組織の犯行ということも、考えられるかと」 「ですよね……」  肯定され、サクラは暗澹(あんたん)たる気持ちで溜息をついた。  光響は(しぼ)むようにおさまってしまい、ロゼも戻ってくる。ドレイクが燃やし尽くした小屋は、少しの火種も残っていないようだ。  そこに(ひづめ)の音が近付いてきて、アルカミルが単騎、戻ってきた。瞬時に、クレイセスとバララトはどうしたのかと緊張を覚えたが、下乗したアルカミルはサクラの前に正礼を取ると、笑顔で報告する。
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