遠日の夢

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 六歳の時、父と二人で行った回転寿司で語り合った夢は、今でも鮮明に思い出される。 「お父さんはな、今は航空整備士をやってるけど、これでも子供の頃は宇宙飛行士を目指してたんだ。だけどこれが難しくてな、それでも空に近い所にいたくてパイロットを目指したんだ。だけど、これもまた難しくて……」 「それじゃあ、僕がなるよ」  単なる子供の思い付きだったが、父は満面に笑顔を見せた。僕は、父の笑顔をもっと見たくて、テーブルに置かれていた店のアンケート用紙と鉛筆を取ると、用紙の裏側に『うちゅうひこうき』と名付けた絵を描いて見せた。 「大きくなったら、お父さんをこれに乗せてあげるよ。一緒に宇宙に行こう!」  あの日の父の笑顔は、僕にとって一生の思い出だった。 「アナタは本当によく頑張ったわ。大学まで出て、色々あったけど、ここまできて……」 「結果はついてきただけだよ。じゃ、切るよ」  僕は、笑顔のまま母との電話を切った。
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