忘れものにはご用心

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 この学園は変わっている。  学園というからには教育方針がある。この学園は〈知力・体力・時の運〉。  ウリの一つであるセキュリティ対策が万全。けれどもその方向性がおかしいのだ。  どんな仕掛けかはわからないけど、瞬間移動装置なるものを開発したらしく、学園の至る所に設置されている。  その装置を避けて学園に入ることは、どうやっても出来ない。そして移動した先で、ちょっとした試練があるのだ。  学園に入るためには、装置を突破しなくてはならない。過去、ルートを外れようとして電気ショックを受けた人がいる。下手な行動は禁物。  今回飛ばされた場所は、どうやらグラウンド。 『それでは今から五十メートル走していただきます。10秒以内にゴールして下さい』 「えぇー⁉︎」  若い頃なら余裕だった。  でももうアラフォー近い身体にはキツい。 『達成出来なければ、門からやり直しになります。位置について〜』 「もぉー!」  仕方なくスタートラインに立つ。 『よーい、どん!』 「なんでこんな事しなくちゃいけないのよー!」
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