忘れものにはご用心

　インターナショナルスクールが親にも英語力を求めるように、この学園も保護者に〈知力・体力・時の運〉を要求する。
　登下校時は別のゲートが用意されていて、そちらでセキュリティチェックを受ければ済むのだが、忘れものなどすると、今のこのルートになる。

　いきなり小テストやらされたり、体力テストやらされたり、時にはジャンケンで負けたら門まで戻された、なんて話も聞いた事がある。

　とにかく突発で学園を訪ねようとすると、時間と体力と気力が必要になる。

『9.98秒。クリアですー』
　AIの声がウザい。
　ビックリするくらい滑らかに聞こえるけど、人の声じゃない。
　泣いて懇願しても通らない。先に進みたければ、従うしかないのだ。

『それでは次に進みます』

　容赦なくAIの声が響く。