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(2)道を間違えるにも程がある
うわぁ,と思った。
工事の人はまだ何か叫んでいる。
とにかくここから出たいので,どうすればいいのか,ということを丁寧に訊ねた。
「先にある階段を降りたら%’*玉川学園の#あるから,そこを&$?横切らせてもらって!+‘&わかたか??」
「はぁ,どうもありがとうございます」
「芦ノ湖#&+*?*‘@!!!!」
何かまた吠えだしたのだけど,教えてもらった仮設足場の階段を下り,玉川学園の保養所のような建物がある庭先を横切って,まっすぐ歩いて行った。そうしたら,工事人の人が言う通り,畑宿の一里塚のところに戻ったのだった。
「なんであんな道に行ったのかなぁ・・・」
旧道に戻る前にどこで間違えたのか確かめてみようと思い,その小径を捜してみた。このへんかなぁと思って路地を行きかけたが,箱根新道に出てしまうような道はどこにもなかった。
「そうかぁ・・・まぁええわ」
旧道に戻って,石畳やら階段やらの道を,なんとかかんとか歩いて芦ノ湖に到着した。
雨が激しく、峠に行く道は霧の中だった。
旧道に向かう手前がバイパスへの道に繋がっていて,霧の中から猛スピードで車が走り出してくるのである。
「・・・・」
しばらく立ち止まって,状況を考え,いろいろ私なりに思案した。
今日はもうここまでにして,日を改めてもっと天気の良い日に峠を越えよう・・・。
そう思って引き返しにかかった時・・・。
山歩きのスタイルで,一人の若者がやって来て,私とすれ違った。咄嗟にこの若者について行けば・・・と思い,また引き返して,私はこっそり彼の後を付けたのだった。
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