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その後の二人
学校を卒業後も、僕とマルコは付き合いを続けていた。何より気取らずにいられるのが楽だったし、僕が太ったのはマルコのおかげだと、僕の両親は喜んだくらいだったのだ。
マルコはぽってりを通り越し、どっしりになった。
僕は小太りを通り越し、どっかりになった。
僕とマルコは結婚することになったが、なんと、二人とも式場の貸衣装が入らない。
仕方なく、外の業者も探してもらって、マルコも僕も貸衣装を一回ほどいて、布を足してもらって結婚式に臨んだ。
一応花嫁のマルコは目の前のごちそうを食べるのを我慢していたが、僕は特に我慢することもないので、少しずつ口に入れていた。
「いて!」
左足に痛みが走った。
マルコが蹴ったのだった。勿論披露宴会場なのであくまでも控えめに。
『一人で食べていないでよ。私だって食べたいのに。』
『食べたらいいじゃない。ドレスだから食べやすいでしょ?』
『無理。座ったらドレスきつくて破けそうだもん』
布を足してもらっても、マルコにはきついドレスだったようだ。
花嫁の機嫌を害するのも嫌だったので、ワタルもそこからは食べずに過ごした。
結婚式後、きつい衣装を脱いだ二人はまず、近くの食べ放題の焼き肉店へGo!
ほとんど一日食べていなかったので、二人でモリモリと肉をたいらげていく。
食べ放題の時間が残りわずかになった時、
「ウッ」
と言って、マルコはお腹を押さえた。そして、そのまま倒れてしまった。
ワタルは慌てて、救急車を呼んで貰ったが、マルコは一日食べなかったところに急激に肉を流し込んだことで胃が破裂して帰らぬ人となった。
式の当日に伴侶を亡くしてしまったワタルは、まるでマルコの染めた色が抜けるように食事をしなくなり、やがて、食べ物を受け付けなくなり、入院したが、そのまま帰らぬ人となった。
何事もほどほどにという事が身に染みる出来事だった。
【了】
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