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Interlude Encounter
そもそもの話、僕がQを拾ったのは2001年が始まってすぐだった。
秋葉原で福袋を買い漁り、歌舞伎町で一杯飲んでから帰ろうと思ったときだった。
僕を見つめる少年が目の前にいた。
少年は死んだ魚のような目をしており、今にも死にそうだった。
だから、僕はその少年を背負った。
福袋と合わせて総重量は約55キログラム。しかし、僕にとってその少年は軽く見えた。
そして、タクシーターミナルでタクシーを呼んで、家がある武蔵小杉に帰った。
僕は見てくれの通りパソコンオタクであり、秋葉原でシステムエンジニアとして働いている。
昔から機械いじりが得意であり、自作したパソコンの数は100台にも及ぶ。
しかし、他のパソコンオタクみたいに厭らしいゲームのためにパソコンオタクをやっている訳では無い。パソコンで誰かの役に立つためにパソコンオタクをやっているのだ。
実際に、僕が趣味で作ったソフトウェアは役立つモノが多い。
カップラーメンの時間を測るためのタイマーや家計簿、買ったCDを管理するためのデータベースソフトまで開発している。
だから、僕にとってパソコンは万能の機械なのだ。
もう一つ、僕には好きなモノがある。
それは『007』というイギリスのスパイ映画だ。僕はそこに出てくるジェームズボンドの相棒、Qに憧れていた。Qはジェームズボンドに色々な機械を提供するといういわばドラえもんのような存在である。
僕もいつかQのようになりたい。そう思っていた。
少年が目を覚ます。
「ここはどこ?」
「ここは僕の家だ」
「僕の家?」
「そうだ、僕は君を拾った」
「何のためにだ」
「君が、お腹を空かせていたからだ」
「そうか」
「とりあえず、これでも食べるんだな。君は栄養失調で死んでしまうかもしれない」
僕は、少年に食パンとゆで卵、そしてフルーツを与えた。
「毒は入っていないよな」
「ああ、大丈夫だ。それに僕は君を殺したりしないよ」
「そうか。なら、いただきます」
どうも、少年は僕を怖れているらしい。
それもそうか。捨てられた子だからな。
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