Interlude Encounter

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 朝食を食べている少年を見ながら、僕は日曜洋画劇場で録画したピアースブロスナンが演じる007を見始めた。 「ジェームズボンドは矢張りショーンコネリーが一番いいと思っているけど、ピアースブロスナンも悪くはないな。しかし、ジェームズボンド役に後継者は出てくるのだろうか」 そんなことを思いながら、トーストを頬張る。 すると、少年がテレビを見始めた。 「僕も、こうなりたい」 「ん?」 「このお兄さんになりたいんだ」 「ジェームズボンドじゃなくて?」 「Qって名乗っているお兄さん」 「そうか。そういえば、君の名前を聞いていなかったな」 「名前はあった筈だけど忘れた。だから名前なんてどうでもいいんだ」 「そうだ、君にうってつけの名前があるんだ」 「教えてよ」 「Qだ」 「もしかして、このお兄さん?」 僕はビデオの画面を一時停止させる。 「そうだ。君は頭も良さそうだし、Qを名乗るのも悪くないのでは?」 「なるほど。そう言うのって、なんだかカッコいい」  こうして、あの少年はQを名乗ることにした。  ――真逆(まさか)、世間を騒がせていた藤堂商事の消えた少年だとは知らずに。
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