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Phase 08 Message of Dead
2001年12月24日。
それはクリスマスイブでもあり、僕たちにおける運命の日でもある。
僕と仁美は東京連合の一員として、クリスマスパーティー兼旗揚げ5周年記念のパーティーに参加していた。
パーティーの参加者はセレブが多いが、中には稲山会という東京を拠点とする暴力団の関係者もいた。
見た目からでは誰がセレブで誰が暴力団員か分からないが、僕は放つオーラから暴力団員を見抜いていた。
しかし、目的は暴力団員を見抜くことではなく東京連合という組織の壊滅である。
リーダーである長嶋茂徳が乾杯の音頭を取る。
「本日はお集まりいただきありがとうございました。僕たち東京連合はお陰様で旗揚げから5周年を迎えることになりました。最近、警視庁、特に公安からの見る目が厳しくなっていますが、僕たちは東京の裏社会を支える組織として、これからも精進していこうと思いますのでよろしくお願いします。では、乾杯!」
「乾杯!」
華やかなクリスマスソングが鳴り響くなか、僕たちは乾杯をした。
後は、パーティーがお開きになるタイミングで仁美がこの煙幕を投げるだけだ。
「これが例の煙幕?」
「あぁ、そうだ。コレを投げると煙が発生する。中には催涙ガスが入っているから、念のためにガスマスクも用意しておくように」
「それにしても、矢野さんってこんなものも作れるんですね」
「まあな。スパイ映画に憧れているからな。特に007」
「007か。僕の相棒はミッションインポッシブルが好きらしいけどな」
「イーサンハントも悪くはない。しかし僕はジェームズボンド派だな」
「コホン。とにかく桧山君、煙幕を投げるタイミングは君にかかっているからな」
「分かったよ、Q。そして矢野さん」
僕と仁美はQ、そして矢野輝の分まで思いを受け取ることになった。
23時00分。
パーティーも終盤を迎えていた。
そして、仁美が煙幕を投げる。
パーティー会場一体が煙に包まれる。
「何だこれはッ!」
「ゴホゴホッ!」
「目が痛いッ!」
僕は、警視庁と消防署を呼ぶ。
「もしもし、至急、消防車と救急車をお願いします!」
「もしもし、至急、警察を頼みます!」
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