40人が本棚に入れています
本棚に追加
「君の目を見れば分かるよ。君は、常人の目をしていない。覚醒剤の常習者の瞳孔は花のように見開いているという。おまけに、君はMDMAまで使っているというじゃないか。完全にクロだな」
「この野郎ッ!」
僕は元木大に胸ぐらを掴まれた。
正直、死を覚悟した。
その時、後ろから声がした。
「その子を放しなさいッ!じゃないと、木刀で殴るわよッ!」
仁美の声だ。
「お前はあの時のビッチか!今度は逃さねぇッ!」
「私はこれでもインターハイの神奈川県代表だったんだよね。逃げても無駄よ」
元木大の脳天に木刀が直撃する。
そして、元木大はその場に倒れ込んだ。
九死に一生を得た僕は、催涙ガスが立ち込める中警察が来るのを待っていた。
しかし、そうは問屋が卸さない。
「本当に、君には呆れたよ。矢張りスパイだったんだな。もちろん、その隣の女もだ」
刹那、痺れるような感覚を覚えた。
これはスタンガンだろうか。
躰の感覚がなくなる。
意識が遠くなる。
母親の幻覚が見える。
――そして、僕と仁美はその場に倒れ込んだ。
最初のコメントを投稿しよう!