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9時30分頃。
僕は東京連合のクラブ、もといアジトへと戻っていった。
「今回のコロシ、上手く行ったようだな」
「おう。目当ての男は殺し損ねたが父親なら殺した。金属バットで一発だったよ」
「ところで、目当ての男って誰なんだ?」
「藤堂駿輔って言って、俺たち東京連合を執拗に追っている少年だよ。この間も、彼にパソコンをハッキングされて大変だった」
「ハッキングされたパソコンはどうした」
「もちろん、この金属バットで破壊したよ」
「ならいいんだ」
数週間前。
僕は矢野輝に東京連合のパソコンのハッキングを依頼した。
案の定、半グレ集団と雖もパソコンの取り扱いには慣れておらず、おまけにセキュリティの脆弱性は骨粗鬆症の骨のように脆いモノだった。だからハッキングは上手くいった。
「パソコンオタクとして、本当はこんなことにパソコンを使いたくないんだけどな。Qからの依頼なら仕方がない」
「で、東京連合の情報は抜き取れましたか?」
「あぁ、完璧だ。抜き出したデータはこのMOディスクに保管してある。1枚あれば足りるだろう」
「矢野さん、ありがとう」
「まあ、こんなことでパソコンを使うのはもうこれっきりにしてほしいな。それはともかく、東京連合の弱点はこれではっきりと分かったな。このMOディスクは警視庁に送っておこうか?」
「いや、その前に渡すべき人がいる」
僕は、Qから郵送されたMOディスクを受け取った。
最初はMDディスクかと思ったが、そもそもの話、僕の塒にMDディスクの再生機器はない。だから、パソコンにMOドライブを増設することにした。
しかし僕にお金はないので花蓮に頼んで秋葉原で買ってもらった。
「見た目はMDディスクだけど、全然違うんだね。これじゃあ間違えちゃうよ」
「でも、Qから郵送されたモノだ。パソコン関連の何かで間違いないだろう。さて、何か東京連合に纏わるデータが入っていたらいいな」
MOドライブにディスクを挿入する。
読み込みの進捗率が進むにつれ、僕の心臓の鼓動が早くなる。
そして、進捗率が100%になった時、東京連合のデータベースがパソコンの画面一杯に表示された。
「これが、東京連合の全体図か。Qも善くまとめ上げたな」
「分かりやすいね。さすがQさん」
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