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木更津警察署、そして川崎警察署。両方の管轄がパトカーを走らせる。
海ほたるがあるのは木更津と川崎の中間点である。
共鳴するサイレン。
互いに光る赤灯。
僕は、それを人生最後の景色だと思っていた。
そして、両方の管轄のパトカーに割って入る警視庁のパトカー。
――あれは、赤星刑事からの助けだ!
「待たせたな、スパイの2人。いや、今は囚われの身の少年少女と言ったほうがいいかな?」
「私は少女じゃありません!立派な20歳の女ですッ!」
「おっと失礼、口が滑った。それはともかく、今、助けに来てやったから安心しろ。問題は爆弾だが・・・。カウントダウンは5分30秒か」
「これ、爆弾処理班でなんとかならない?」
「そう言うだろうと思って、爆弾処理班を警視庁の方で派遣してきた。君たちは安心するといい」
「それはどうかな?」
「お、お前はッ!」
僕の目の前に拳銃を持った青年が現れた。
更に、日本刀を持った少年も後ろに侍らせている。
「僕が東京連合のリーダー、長嶋茂徳だ。今更説明はいらないよね?」
僕の顳顬に拳銃が当てられる。
爆弾の残り時間は3分を指していた。
東京連合の残党と思しきメンバーが僕と戸神君と桧山さんを取り囲む。
色んな意味で、ゲームオーバーだと思った。
爆弾の残り時間、2分。
「あと2分で海ほたるは火の海に包まれる。そして君たちは焼かれ死ぬ」
「君たちも巻き込まれないのか」
「残念だけど、上空にヘリコプターを用意してある。爆弾のタイマーが1分を切った時、僕たちはそれで逃げるつもりだ」
「そうか。君たちどこまでも狡賢いな」
「賢くなければ半グレ集団は務まらない。実際に僕のIQを少年院で調べてもらったところ、160もあったらしい」
「じゃあ、なんでその頭脳をもっと有益なことに使えなかったんだッ!」
「ギフテッドの人間が、普通に生きていくだけじゃつまらないでしょ?」
「確かにそれはそうだが、君の場合は頭の使い方を間違えているッ!君のIQが本当に160ならば、帝都大学はもちろんだが海外の名だたる大学に入れたかもしれないんだぞッ!」
「日本の大学は腐っている。だから僕は入学を拒否した。ただそれだけのことだ」
「いや、日本の大学は腐っていないよ。僕は今、帝都大学に入るべく勉強しているから」
「き、君は、Qッ!」
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