今が尊いのだから

6/13
前へ
/13ページ
次へ
そうして訪問審査日が決まり、次におかあちゃんがした事は訪問審査員の方に向けて手紙を書き、NRさんから前もって渡していただく事。 内容はお話をさせて貰う時に、どうしても話しそびれてはいけないと思う事を先に手紙で伝えました。 これは友人のケアマネージャーに教えてもらった事。どうしても口頭だけの質疑だと話の流れで言えなかったと悔やむ事が出てくるからと。 その時の手紙の一部分です。 *何度も同じ事を聞く(本人は確認しているだけだと言いはりますが、聞いた事すら忘れている事が多々あります) *同じ事をし続ける。(薬の仕分けなどは時間をかければ出来ます。しかし、その確認を3〜4日は日に何時間もし続けます。 買い物のレシートや処方箋を何時間も見続ける等) *記憶に残っている事だけをつなげて、話を作る。(本人は本当の事(現実にあった)と思っています) *一度思い込んだ記憶を訂正することが困難になっています。 *自身の想定する以外の事がおこると、パニックをおこし、その事にまつわる記憶が混乱(わからなく)なります。 最終的には便箋2枚にビッシリになりました。 このやり方が良いのかはわかりませんが、こんな方法もあるのかと思っていただければ幸いです。 そして訪問審査当日。 身体機能や起居動作の確認と簡単な質疑を済ませて、NRさんと社会福祉協議会の方は帰って行きます。 其処からがおかあちゃんの本番です。 父の助け舟を借りて実家を脱出。何しろ出掛けるとなると母の【どこに行くの?】攻撃が激しいんです。 NRさんたちを追い掛けます。地域包括支援センターで落ち合い、母の現状を伝えました。 その時は父に介護鬱の診断が出ていたので、それも合わせて家庭の危機を訴えます。小一時間、話に話しまくり、現状を理解していただきました。 そして言われた言葉が、 『早急な支援が必要だと思われます。手続きは急がせて頂きますが認定に至るかは保証出来ません。問題になるのはお母様が未だご自身の身の回りの事がお出来になる事です。』 どちらともつかない言葉。 確かに未だ身の回りの事は出来る。それでも新しい記憶は30分ももたない。会話も普通のスピードについてこれない。理解できない。好きだった料理ですら、一人で考えて作るのは困難になりつつある。 何よりあんなに朗らかだった母はもう居ない。人格変化がおきているのだ。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加