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彼女がほしい、そんなことを考えながら1人エッチをしている。ムラムラしてどうしようもないから。
でも、1回、自慰行為をすれば数日はしなくていい。彼女がいればこんな虚しい行為をしなくて済むのに。
元カノと別れてから、1年が経とうとしている。なぜ別れたかというと、性の不一致。元カノは性行為があまり好きじゃなかった。でも、俺は絶倫。到底うまくいくはずがない。
でも、趣味は一致していた。小説を書いたり、読書したり。でも、その中でもいろんな
ジャンルがあって、俺はR-18の作品を書くけれど、元カノは純愛モノを書いていた。読書は俺は官能小説を読んでいたけれど、元カノは青春モノを読んでいた。細かく分類すると趣味の内容も合わない。
徐々に俺は欲求不満になって無理矢理、元カノを犯した。避妊もしなかったので、あとからマズイなぁと思ったけれど、妊娠はしなかったようだ。その証拠に生理がきたから。
元カノは望まない性行為だったので、泣いていた。それでも、俺はかわいそうとは思わなかった。
俺は山田哲人、23歳。鉄筋を溶接する仕事をしている。肉体労働なので、体も筋肉質だ。
彼女を見つけるために夜ナンパしに行くか。早くいい女を見つけてヤりたい。独りでするのは虚しすぎる。あの時はたまり過ぎていてしたけど。
仕事を終えたので、風呂に入り、夕飯を食いブラックのハーフパンツと赤い模様の入ったTシャツを着て寮をでた。そう、俺は会社の寮に住んでいる。ここに就職したのはレベルの低い高校に進学したが、勉強が苦痛で嫌になり、退学した。それも親にも言わず勝手に。親に話したって好きにしたらいい、というふうに決まっている。それでいい。俺のやりたいようにやる。そのあと、この会社に就職した。
車の免許は親に借りは作りたくないので、自分で金をためてとった。仕事が終わったあとに自動車学校に通っていた。運転なんか学校に通わなくたってできるのに。俺は自分で免許を取る前に親の車を運転していた。無免許というやつ。さすがに通勤する時は歩いて行っていたけれど。
ナンパしに行く前に歯を磨き、寮を出た。車は車高を低くしたステーションワゴン。俺は女も好きだが車も好きだ。特に、エロい女が好き。付き合ったら俺以外の男の連絡先や、喋ったりすることは許さん。俺は高校の時付き合っていた女に、
「哲人はかなりなやきもち焼きで、縛る。それだけ好きなんだろうけど、キツイ」
と言われたことを今でも覚えている。その時はムカついて、その女を殴った。そしたら前歯が1本折れて、鼻血を流してた。思わず笑ってしまった。そいつは泣いていた。泣かしたまま俺は帰った。そのあとのことは知らない。
俺のことを陰で酷い男というやつも男女問わずいると思う。でも、俺はこういう男だ。人の気持ちを考えろ! とたまに言われることがあるけれど、何で考えないといけないんだ。俺の好きなように生きる。
車で築港に向かった。20分くらい走って築港に入ると結構、若いやつらがいる。改造した車も7~8台ある。端のほうに停めて見ていると、ジュースやビールなどを飲んでいるやつがいる。
俺は23だが、見た目、年上もいればもっと若そうなやつもいる。男も女も露出度の高い服装だから肌を見て、ムラムラしてきた。ヤりたい。股間が熱く固くなってきた。
でも、この中に1人で入っていくのか。友人のカエルを連れてくればよかった。カエルというのはもちろんニックネームだ。顔がカエルに似ているから周りからそう呼ばれている。そいつとは中学で知り合った。こいつはカエルに似ているくせに女にモテる。女とヤっている人数なら俺より多いだろう。多分、20人くらいと関係をもっていると思う。俺は10人くらいかな。
カエルは1人、ゴムをつけないでヤった女をはらませたらしい。確かあれは去年の夏だったはず。中絶費用を払っておろしてもらったと言っていた。確かに生でヤるのは気持ちいいけど、そういうことになるのが嫌で俺は必ず避妊している。
とりあえず行ってみるか。仲間に入れてもらえたらこっちのものだし。無理なら別な日にしよう。その時はカエルも連れてくるか。
車から降りて、なるべく笑顔で、
「こんばんはー」
と言って近づいた。その中の1人が反応した。
「うん? 誰だ、お前」
俺は、
「山田哲人っていいます~。23です~」
低姿勢で笑みを浮かべながら言った。3人いる中の色気ムンムンの女が言った。
「かわいい顔してんじゃん。あたしの横においでよ」
いきなり気に入られた。やったぜ! そう思いながら金髪に染めた小顔でおっぱいのデカイ、でもウエストはくびれていてスタイルはいい体をマジマジとみている。抱かせてもらえないかな。でも、逢ったばかりだ。そんなことは今は言えない。
「哲って呼んでね」
そう言うとその女は、
「あたしはリンカって呼んで」
俺に反応した男は、
「お前、俺の女をジロジロ見るな。リンカはオレの女だ」
と俺を睨んでいる。
「そうなんだね、すいません」
そう言うと男は、
「まあいい。オレはダイジって呼んでくれ。年はお前より上だ」
このダイジって男、ずいぶんと偉そうだな。ムカつく。まあ、黙っていよう。今、言うと仲間に入れてもらえないから。
もう1人は女。俺が見ていると、見返してきた。この女は、薄ら笑いを浮かべている。何を考えているんだ。
「哲、ウチはアローって呼んで」
緊張しているのか、アローは笑わない。俺は笑みを浮かべているけれど。
「アローね、わかった」
リンカは言った。
「アローは少しだけ人見知りするから、こっちから話しかけてあげて」
俺は、
「そうなんだ、わかった」
と返事をした。
でも、リンカにダイジという彼氏がいたのは残念だ。いい女にはそばに男はいるものだな。
畜生!
正直、悔しい。だがだ、リンカのほうから
「連絡先を交換しない?」
と言ってきた。意外なことが起きた。ダイジはリンカを睨んでいる。
「お前、オレという男がいながら逢ったばかりの男と連絡先を交換するのか!」
リンカに怒鳴っている。でも彼女は、
「いいじゃない連絡先くらい。器の小さい男は嫌だいやだ」
言い放った。
「なんだと? そこから会ったりしようとか考えてるんだろ」
リンカは笑っている。
「そんなこと考えてないよ」
どうやら仲間割れが始まったようだ。面白くなってきたぞ。アローは黙って見ている。
結局、連絡先は交換した。メールを。こんな簡単に連絡先を交換できるなんて。たまたまかな?
「哲の車はどこにあるんだよ?」
「あっちにある」
車のあるほうを指さした。
「見に行くぞ」
そう言って4人で見に行った。
ダイジは、
「お! 改造してある。カッコいいじゃないか」
と言った。
「ありがとう!」
俺は嬉しくなった。
それからお互いのことや、最近あったことを4人でしゃべった。予想より楽しかった。
帰宅したのは夜中0時をまわったところ。テーブルの上にスマホを置いたときメールがきた。ディスプレイを見てみるとリンカと表示されている。お! リンカだ、と思い本文をひらいた。
<さっきはありがとう! たのしかったよ。今度、2人で会わない?>
マジか! と思いでも、うれしかった。好みのタイプの女だから。
<うん! いいよ。2人で会えるのはうれしいよ。でも、ダイジにはなんていうの? 付き合ってるんだろ?>
少し間があき、
<実家にいく、とでも言っておくよ>
それは名案だ。
<わかった>
と返事をした。
リンカは悪い女だ。彼氏がいるのに俺に声をかけてくるんだから。どうなっても俺は知らん。ダイジにバレたら、俺も文句を言われるかもしれないけれど、こっちには言い分がある。
「リンカから誘われたんだ」と。それで、2人が別れたら俺の女にしてやる。好みのタイプだから。そして、リンカをおもちゃにしてやる。やりたい放題だ。そう考えると興奮してきた。
<いつにする?>
俺はいますぐにでも会いたい気分だ。
<今週の土曜日は?>
翌日は休みだし、ちょうどいい。
<ああ、いいよ>
俺は答えてすぐに質問した。
<何時にどこで待ち合わせする?>
<山のほうにあるコンビニで夜7時頃はどう?>
俺の考えていることとぴったりだ。これは何かの縁では? そう思いながらメールを打った。
<そうしよう!>
今日は木曜日。あさってだ。リンカの体をもてあそんでやる。あいつもきっとそのつもりで来るはずだ。
あれから土曜日になり、仕事を終えた俺はシャワーを浴び、夕飯を食べ、そして寮を出た。
約束の時間に約束の場所についた。どんな車だろう? 訊いてないからわからない。きっと俺の車を見つけてくれるだろう。
夜7時を30分ほど過ぎた。いまだに来ない。どうしたのだろう? 何かあったのだろうか。ちょっとメールをしてみよう。
<7時半だけど来ないの? 何かあった?>
そう送った。
少し待つか。
更に30分が経過したが返信メールはこない。なんでだ? 電話してみよう。電話帳からリンカを探し出し、かけた。呼び出し音をいくら鳴らしてもつながらない。なぜだ? おかしい。でも、家も知らないしどうすることもできない。八方ふさがりだ。しかたない、帰るか。俺はあきらめて帰ることにした。もしかして、だまされた? うーん、どうなんだろう。とりあえず帰ったら、リンカと体をまじ合わせようと思っていた気持ちを抑えるために1人エッチをしよう。虚しくなるけれど、仕方ない。
自宅について俺はスマホにブックマークしてあるエロ動画サイトを見始めた。過激だ。俺はズボンと下着をぬいで行為に至った。
昇天したあとはやはり虚しかった。この気持ちは好きじゃない。でも、スッキリはする。
マスターベーションをしたあとに、ソープランドに行けばよかったなあ、と思った。失敗。
明日、行くかな。わからないけれど。
翌日になり、朝8時ころメールがきた。相手はリンカだった。いまさら何の用だ? 見てみると、
<昨日はごめん、急用ができて行けなかった>
俺は感情的になり、
<1時間も待ってたんだぞ!>
と送ると、
<ごめん、実家に呼ばれたものだから。お母さんが風邪で熱だしちゃってさ、それで看病してたの。本当にごめん>
そういう事情か、なら仕方ない、と思い、
<そうだったのか、それなら仕方ないな>
そう送った。すると、
<今日はどう?>
と来た。なので、
<今日でもいいぞ>
すぐに返事はきた。
<じゃあ、今日! 今日は絶対行くから!>
<わかった。約束だぞ?>
<うん! 約束>
メールが終わり、俺は出勤した。今夜こそリンカは来るだろう。楽しみだ。隙をみて唇を奪ってやる。俺はそんなことばかり考えている。でも、男はエロくないと男じゃないだろう。
俺は別な元カノのことを思い出していた。あいつはエロい女だった。今ごろ何をしているのだろう。こんな朝っぱらから男とやっているのかな。あり得る。そういうやつだ。大して働きもしないで、そんなことばかりにお盛んで。そう考えると笑えてくる。そういう女と付き合っていた俺も俺だけれど。
仕事を怪我なく終え、支度をして寮をでた。時刻は午後6時50分頃。約束の時間は午後7時。例のコンビニに着いて、広い駐車場の一角に駐車した。待つこと約15分。午後7時を少し過ぎたところ。一台の白い軽自動車が来た。リンカか? 既にあたりは薄暗く、よく見えない。そちらを見ていると車から女が出てきた。やはり、そうだ。俺が見ていることに気付いたのか、笑顔で手を振っている。俺も車から降りた。
「よお」
言いながら俺も手を挙げた。
リンカはピンクのブラウスに黒いミニスカートを履いている。セクシーだと感じた。早くヤりたい。きっと、この女も俺との情事が目的で来ているのだろう。こういう色気ムンムンの女は大概ヤリモクだと思う。
「どっちの車で行く?」
リンカが言うと、
「俺の車で行こう。リンカもそのほうが都合がいいんじゃないのか?」
「まあ、ここに車を置いて行くなら、家が近いね」
「そうなのか。夕飯は食ったのか?」
「まだだよ、一緒に食べようと思って」
「あ、そうだったのか。俺は寮に住んでいるから、ご飯断っていなくて食べてきた」
「そうだったんだ。一緒に食べようと思ったけど、残念」
「悪ぃ、でも、一食なら食べられるから付き合うよ」
俺がそう言うと、
「無理しなくていいんだよ?」
とリンカは言うけれど、
「いやあ、無理なんかしてないよ」
俺は言った。
「そう? ありがとう。1人で食べるのは嫌だからさ」
それを聞いて俺は笑った。
「リンカは意外とナイーブなんだな」
俺が言うと、
「そう? 普通じゃない?」
不思議そうな表情で彼女は言った。
「まあ、いいや。行こうぜ」
そう言って俺とリンカは俺の車に乗った。
車中で、
「リンカは何が食べたいの?」
訊いてみると、
「うーん、そうねえ、中華が食べたいな。中華丼とか」
お! と思った。
「結構、食うんだな」
細い体の割にはよく食べると思った。
そういえばリンカはいくつなんだろう? 訊いてない。女に年を訊くのはまずいと思う。自分から言うのを待つか。
「じゃあ、中華料理店に行くか」
「うん! ありがとう」
彼女は嬉しそうにしている。
「いやいや、なんもだよ」
大した話ではない。まじめな子なのかな? リンカは。
今は山のほうにあるコンビニにいるので、街まで行くにはだいたい15分はかかるだろう。
今、思ったことがある。それは、また戻ってくるなら2台で行ったほうがいいんじゃないかと思ったので、それを伝えると、
「確かにそうだねえ、そうしよっか」
「うん」
俺は思わず笑ってしまった。まあいい、行こう。
2台に分かれて出発した。俺が先に走って、後からリンカが付いて来る形だ。
予想通り中華料理店に着くまでは約15分かかった。店の前の駐車場にちょうど2台停められた。混んでいるのか? ガラス張りのその店は、建物こそ古いけれど、店内は綺麗に掃除されており、整理整頓もされていた。愛想の良さ気なおばちゃんのウェイトレスが出て来て、
「いらっしゃいませー!」
と、笑顔で言った。厨房のほうからも数名の男性、きっとコックだろう、負けずに威勢のいい大きな声で、
「いらっしゃい!!」
聞こえた。
「お2人ですか?」
言うので、
「はい」
答えた。
「カウンターと小上がりの席どちらがいいですか?」
店内にはまあまあお客さんがいる。
「どうする?」
俺はリンカに訊いた。
「小上がりがいいな、ゆっくりしたいから」
彼女は落ち着いた表情をしている。いい感じだ。俺は店員に、
「小上がりで」
伝えると、
「こちらへどうぞ」
案内された。
席と席との間に屏風が置かれて見えないようになっている。
「感じのいい店ね。店員も元気だし」
リンカは言い、小上がりに上がって座った。俺は胡坐をかき、リンカは正座をしている。
「正座なんだな」
感心して言うと、
「外ではね。家ではあたしも胡坐よ、お嬢様でもあるまいし」
そうだよな、お嬢様ではないだろう、と思った。でも、そのまま言うのはどうかと思ったので、「そうだよな」と同意しただけにしておいた。
先程の白いエプロンをした店員がやって来た。
「いらっしゃいませ、メニュー表をお持ち致しました。お決まりになりましたら、そこの赤いボタンを押して下さい」
そう言って他の客のところに行った。
「何にする?」
と言いながら俺はメニュー表を開いて彼女に見せた。すると、フフッと笑いながら、
「優しいのね、哲は」
嬉しそうに、穏やかな表情でそれを見ている。
ああ、いい女だ、リンカは。俺の女にしたい。俺は自分の気性が荒いだけに、穏やかな人を見ると憧れる。今のその対象はリンカだ。
「あ! 中華丼あった。これにしよう」
俺は食べてきたので、量の少ないものにする。そうだな、麻婆豆腐にするか。俺は赤いボタンを押した。ピンポーンと大き目な音が鳴った。
「はーい! 只今伺いまーす!」
また、威勢のいいウェイトレスの声が聞こえた。どうやら、ウェイトレスは複数人いるようだ。今度来たウェイトレスは20代前半の若い女性だ。俺はマジマジとその若い女性を見ていると、リンカは俺を睨んでいた。俺はビクリとし、怒っているのか? と思った。
俺は、
「中華丼と麻婆豆腐」
と伝えた。
「かしこまりました」
言って厨房のほうに戻った。
「何で睨んでるんだ?」
訊くと、
「それは、哲が今の女をいやらしい目で見てるからよ!」
やきもちか!? と思い、
「もしかして、嫉妬してるのか?」
言うと、
「そうに決まってるじゃない!」
ということは?
「もしかして、俺の事を?」
リンカはコクンと頷いた。
「マジか! めっちゃ嬉しいんだけど!」
デカい声で言った。
「声が大きいよ」
嬉しい! と思った。
「実は俺もいい女だなと思ってたんだ」
リンカはこちらをじっと見詰めながら、
「あたしは一目惚れだよ」
俺は疑問に思った。
「リンカは彼氏いるのに?」
フフッと彼女は笑っていて、
「そんなの関係ないよ、好きになるのは。それに、あいつとは長い付き合いだから飽きてきたのもある」
この話しには驚いた。
「そうだったのか。2人の間に入る隙間すらないのかと思った」
リンカは大笑いした。
「そんなことないよ」
それでいいのか、そう思ったけど言わなかった。
「じゃあ、まずは別れろよ。そして、俺と付き合ってくれ」
リンカは浮気者だと思った。でも、別れてから付き合うなら、浮気者ではないか。
俺は企んでいることがある。それは、このあとラブホテルに行ってリンカを抱くこと。彼女はきっと好き者だろう。俺は俗に言う「絶倫」というやつ。女が好きで堪らない。なんなら、注文したものを断って早く彼女を抱きたい。
食事を終えた後、俺らは満足して中華料理店を後にした。リンカに訊いても美味しかったと言っていた。よかった。また、来ようと話していた。
満腹になったからか、リンカは「眠い」と言い出したなので、
「少し休むか」
「うん、ホテル行こう?」
やっぱり好き者のようだ。自分から言うなんて。きっと、情事もしたいと思っているだろう。
ホテルに着いて、リンカは言った。
「さっきの話だけど、彼氏と別れて哲と付き合う」
お! と思った。
「まじで? いいのか?」
彼女は頷いた。
「よっしゃ! 幸せにしてやるからな!」
俺は力強く言った。リンカは、
「うん、よろしくね!」
これで、俺にも彼女が出来る。これから思いっきり抱いてやる。そして、2人で幸せになる!
(終)
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