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先生の部屋は1LDKで、対面式のお洒落なキッチンがあった。
キッチンの前にはカウンターがあって、丸い木の椅子が一つ置いてある。先生が「自分で作った椅子」だと嬉しそうに言った。丁寧に仕上げてあり、手触りが滑らかでびっくりした。いつもそこで朝ご飯を食べるらしい。
「椅子をもう一個増やす気ありませんか?」
「希美ちゃんの分?」
「私、朝ご飯作るの上手なんですよ」
「朝ご飯だけ?」
「昼ご飯も夜ご飯も得意です」
「じゃあ、一緒に住もうか」先生が笑った。
冗談だってわかってるけどドキッとした。目が合うと先生は穏やかに微笑んでくれた。大好きな笑顔に胸がいっぱいになる。
キスぐらいしてくれないかな、なんて勝手な期待をしながら、リビングのコタツの上に料理を並べた。
最後に手作りの生クリームでデコレーションしたケーキを置くと、「希美ちゃんが作ったの?」と先生は驚いてくれた。
「はい。甘党の先生の為に甘めに作りました。食べて下さいね」
ニコッと微笑むと、先生が微妙な笑みを浮かべる。
あれ? ケーキ美味しそうじゃなかった?
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