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「先生!」
「希美ちゃん……」
駆け寄って私から先生を強く抱きしめた。
薬の匂いに混じって愛しい先生の匂いがする。
「先生が好き。先生とずっと一緒にいたい」
先生はいつもの穏やかな笑みを浮かべてくれた。
「希美ちゃん、丸い椅子をもう一個作るよ。朝ご飯を毎日、一緒に食べよう」
涙混じりの声で先生が言った。
眼鏡の奥の瞳が潤んでいるのを見て、先生に想われているんだと感じる。
「はい。先生」
「ディズニーランドも行こう。希美ちゃんと沢山、やりたい事があるんだ」
「私も先生とやりたい事が沢山あります。次の春の桜も見に行きましょう」
「次の春だけじゃなく、毎年行こう」
「はい」
「希美ちゃん、好きだよ」
「うん」
終
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