桜の花が散ったあと

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 声を掛けようか迷っていると、五時を知らせる夕焼け小焼けのメロディーが海浜公園を包むように流れた。その音にハッとしたように先生がこっちを見る。  眼鏡越しの目と合う。   「栗原さん」  先生はこちらを向いたまま、ハッキリと私の名前を口にした。  記憶の中にある先生の声と重なる。  やっぱり先生だ。
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