日々成長する男、らいむぎ

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 らいむぎがやってきて、異変が起きたのはこむぎの方だった。  一人っ子天下だったところを、急に見知らぬ余所者がやってきて、彼女としては衝撃だったのだろう。  まずらいむぎとの初対面時は、聞いたことのない鳴き声から始まった。 「キャキャキャキャキャキャ」  え、お猿さん? と間違えてしまうような、およそニャンコと思えない高い声。  我々夫婦には「シャー」のシの字も言わないこむぎだったので、「シャー」というかもしれないことを想像できていなかったし、「キャキャキャキャ」と鳴くことはもっと想像できていなかった。  らいむぎはこむぎのことを気に入っているようで、甘えた声を出して近づくのだが、こむぎはそれを許さなかった。  仕方なくらいむぎをケージに入れると、出してくれと鳴き続ける。  どうしたものかと途方に暮れた。  先住ニャンコを大事にするべきというどこぞのネット記事を信じ、基本的にはらいむぎにケージの中にいてもらうようにした。  それでもずっとケージの中だと可哀想に思えて、夜の時間は開け放していた。  それがよくなかったのかもしれない。  2週間ほどそんな生活を続けていたのだが、なんだかこむぎの食欲がないかもと思っていたら、体重が一時3.5キログラムあったものが2.8キログラムまで減っていたのだ。 be385b2e-79c3-4196-b96e-252eda5932c4 ※らいむぎが来たばかりの距離のある2人
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