お出かけの時

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お出かけの時

 平日の朝、我が家では夫が先に家を出て、その後私が家を出る。  家に誰もいなくなるのが寂しいのか、私が家を出ようとすると、それを察知したこむぎは玄関まで走り寄ってきて「行かないで」と言わんばかりに甘えてくる。  足元ですりすりしたり、靴を履こうとしゃがむと膝の上に乗ってきたりする。喉をゴロゴロと鳴らし、そのまま寝ようとする時もある。  離れようとしないので、ボールを投げて、そちらに気が向いた瞬間に家を出なくてはいけない。  それでも扉が閉まる間に私が家を出たのに気づいて「行かないでっ」とまた玄関に走り寄ってくる姿を隙間から見るのは耐え難い。  1人は寂しかろうとらいむぎを迎えたが、朝のその習慣は変わらなかった。「らいむぎがいるから、きっと大丈夫」と自分の中で納得させることができるようになったぐらいの違いである。  しかしこれが、夫が平日に休みが取れた日などは別である。  今日は夫が家にいるとわかっているのだろう。私が家を出る時になっても、こむぎは見送りにさえこない。  玄関からリビングを見ると、いつものニャンコベッドの中であくびさえしている。  そうだよね、夫がいるから寂しくないよね。  そう考えながら、私が寂しくなるのであった。 324816e1-8986-4dff-a095-7328b3f147b8 ※甘えん坊のこむぎ。腕に触れていたいらしい。
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