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まさか、そんなはずはない。
ありえない。
たまたまだろう。
私はまた何十枚、何百枚と2匹の写真を撮影し続けた。
そしてまた、写真を確認してみる。
(らいむぎの渋顔写真がない…!)
常にきゃるんとした表情のらいむぎの写真。
増える渋顔のこむぎ。
愕然とした。
天を仰いだ。
深呼吸をして、自分を落ち着かせる。
「こむちゃん、君って渋顔になりがちやね…」
私のカメラセンスではなかった。
いやもちろんカメラセンスもあるだろう。だが、こむぎが元々渋顔だったのだ。
まだ一歳の女の子。
野良猫だったなら、数多の男の子から言い寄られていたであろう。
こむぎは渋顔ニャンコだった。
いや、いいのだ。
渋顔なんて関係ない。
こむぎは優しくて、私や夫にシャーと唸ったことも爪を立てて引っ掻いたこともない。手を差し出すと舐めてくれる。尻尾を踏んだ時も「にゃん」と言うだけで許してくれた。
そんな心優しいこむぎがどんな顔だって関係ない。
こむぎはかわいい。渋かわいい。
そう、それでいい。
それでいいのだ。
愛してるよ、こむぎ。
※しぶぅ。背景を黒くしたため渋さが増した。
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